ソーシャルビューティフォト メイクから撮影までをすべてトータルで行います

5月13日(土)エプソン丸の内スクエアで

94歳の写真家、西本喜美子さんのトークショーがありました。

https://www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/exhibitions/2023/0421/

熊本から飛行機で東京まで。

94歳という年齢

しかも、数ヶ月前転倒し、骨折入院してました。

90代の骨折

正直、車椅子になってしまうかもしれない。

入院により認知機能が低下してしまうかもしれない。

そんな風に思っていました。

 

そんな予想を大きく裏切り

彼女は、愛用のシルバーカーを押して会場に来ました。

1時間のトークショーも笑顔で受け応え、著書を持って会いに来てくれたファンの方にサインをしていました。

すごいことです。

 

今回、私が伝えたいことは

西本喜美子さんが

72歳でカメラを始めたこととか、Photoshopが使えるとか、アーティストとしての才能がすごいとか

そういうことではないのです。

 

少々長くなりますが読んでもらいたいです。

 

どんなに元気だと言っても94歳です。

人間です。

デイサービスに通う要介護のおばあちゃんです。

シルバーカーが無いと歩くのは危険です。

円背で腰痛持ちです。

退院して間もないのです。

体も小さく食事量も少ないです。

94歳の体力です。

飛行機での長旅も、会場までの道のりも、会場内の移動も、トイレに行くことだって大変なんです。

1センチの段差を越えるのも大変なのです。

日常生活の10倍くらいの運動量なのです。

終始笑顔で対応していましたが

トークショーが終わる頃には、足もかなり疲労が溜まっていたし、シルバーカーに体重をかけて歩くので両腕も痛み出してプルプルしていました。

 

伝えたいのはここからです。

 

トークショーの後、西本喜美子さんも所属している「遊美塾」の東京メンバーとの懇親会がありました。

会場は新橋のガード下の居酒屋

懇親会には23名の塾生がキミちゃんに会いたくて集まりました。

代わる代わるキミちゃんの横の席に塾生が話をしに来ます。

似顔絵をもらったり

あんぱん食べたり

お鍋を食べたり

お酒も飲んで

本当に楽しそうで

こんなに食べる人だった?って思うほど。

みんなキミちゃんのことが大好きで

キミちゃんと話をしている人も、キミちゃんもみんな楽しそうで

 

食事が終わり

時間は21時になりました。

12時間以上動きっぱなしなはずなのに。

 

2次会のワインバーまでシルバーカーを押しながら、結構な距離を歩いているのです。

 

その時のキミちゃんは、心から楽しそうな、ワクワクした顔をして

トークショーが終わった直後よりも歩行状態は良くなっていたのです。

本人は意識していないのです。ただ、みんなと一緒の時間を心から楽しんでいるだけ。

 

 

人が老いていく上で一番大切なのはこういうことだと思うのです。

 

歩かなければいけないから歩くのではなく

食べなくてはいけないから食べるのではなく。

 

そこに行きたいから歩く。

美味しいから食べる。

 

それこそが、大切だということを

高齢者本人にも、介護に従事する人にも声を大にして伝えたいのです。

 

骨折して入院しても

会いたい人がいるから頑張れたのです。

仲間と食べる食事が美味しいから食が進むのです。

みんなと一緒にいたいから歩くのです。

 

介護施設でメイクをしたとき

周りの入居者やスタッフが

笑顔で声をかけてくれる。

みんなが自分を見てくれる。

写真を撮影するとき、みんなが声をかけてくれる

笑顔で注目されている。

だから背筋を伸ばして笑顔になる。

だから元気でいたいと思える。

 

キミちゃんみたいにすごいことはできないかもしれない。

 

それでも自分に関わる高齢者に、キミちゃんのように過ごしてもらいたいと思う。

 

そのために心が動くような仕事をしていきたい。

 

幸せな日々を過ごすために私たちが大切にしなくてはならないのは

栄養価の高いものを定時に食べてもらうことでも

お薬を飲ませることでもない。

心を動かすこと。

 

そこには「愛」がある。

 

そして、高齢者も

愛される高齢者になって欲しい。

 

介護する側もされる側も

常に笑顔で相思相愛になれるように。

 

介護現場は人材不足で、業務に追われて大変だけど

「心を動かす」ケアにもっと目を向けてほしいと

土曜日のワインバーでカシスオレンジを飲む

22時の笑顔の西本喜美子さんを見いて

改めて思ったのでした。