ソーシャルビューティフォト メイクから撮影までをすべてトータルで行います

介護美容写真家®︎の山田真由美です。

介護美容という分野で活動する方が近年増加していると思います。

メイクやネイルで嬉しそうにされている高齢者の笑顔を写真に残したいと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回は介護美容+写真についてお話ししたいと思います。

介護美容とは、身だしなみを整えることで自分への関心が高まり、前向きになれるたり、施術中の会話や見た目の変化などによる社会参加を促す。また、エステなどのリラクゼーションにより精神的なケアをするというものです。

それ故、通常の撮影と目的が異なります。

介護美容+撮影の目的

  • 見た目の変化ではなく、施術によって生まれる心や行動の変化を写真で残す
  • ご家族・施設職員が共有しやすく、本人が当日の心地よさを思い出せる写真にする
  • 撮影はスマホ中心。安全・短時間・負担最小を徹底する

記録の考え方

  • 「前後でどれだけキレイになったか」ではなく、「表情・姿勢・視線・関わり方・言葉」の変化を捉える
  • 施術の“最中”と“直後”の瞬間が最も感情が動きやすい。演出や過剰なポーズは最小限に
  • 写真+一言メモ(言葉・様子・時間帯)で、見ただけで情景がよみがえる記録にする
  • 過度な加工は使わない(本人らしさ・信頼性が低下するため)

スマホ撮影の基本設定とコツ

  • フラッシュOFF、ライブ・連写ON(動きやすい瞬間を逃さない)
  • グリッド表示ON、画面長押しでAE/AFロック→露出を-0.3〜-0.7へ微調整
  • 距離はやや下がって1.5~2x(または50mm相当)で歪みを防ぐ
  • 窓からの自然光を45度で受ける。反対側に白布(レフ)で顔色を柔らかく
  • 手ぶれ対策:肘を机や椅子背に当てる/椅子・壁にもたれる/息を吐き切る瞬間に切る

“ネイルでの心と行動の変化”を捉えるショットリスト(スマホ撮影)

  • 施術前の基準カット:正面〜ななめ45度、胸から上を2xで
  • 施術中:手と表情が同じ画面に入る距離。手のアップ1枚
  • 直後:吐息が抜けた瞬間のやわらかい目元。視線外しで自然に
  • 関わり:家族・職員と目を合わせて微笑む/肩や手に触れ合う瞬間
  • 象徴:お気に入りの小物を手に持つ、趣味道具と手を並べる(本人の物語が伝わる)

メモのテンプレ(写真1枚につき20秒)

  • 日時/施術内容(例:ハンド10分+眉1分)
  • 変化の観察:表情・姿勢・視線・発話(例:笑顔が増えた、目が合う時間が長い)
  • 本人の言葉(引用):「手がぽかぽかして気持ちいい」
  • 共有先:家族LINE/施設掲示/本人アルバム(同意範囲)

共有と活用

  • その場で1枚だけ選んで本人に見せる(当日の喜びの再体験)
  • 家族・施設向けは「前(基準)/施術中/直後」の計3枚で十分に伝わる
  • はがきサイズで1枚プリントし居室に掲示/小さな卓上台紙も有効
  • データ名例:20250120_お名前_ハンドケア_直後.jpg

同意・安全・プライバシー

  • 誰に見せるか、どこに掲示するか、保存期間、ネット掲載の有無を事前確認
  • スマホの自動クラウド同期は同意の範囲内で。アルバムを分けて管理
  • 無断で他入居者や名札・病歴が写り込まないよう背景確認
  • 体調が優れない時は「撮らない」選択を優先

ケース別のコツ

  • 認知症:説明は短く具体的に/選択は2択/馴染みの音楽や小物を活用/フラッシュ・大声・急な体位変換は避ける
  • 車いす:骨盤を立て足台調整、体を窓に45度、手はアームサポートに自然に置く
  • 片麻痺・疼痛:痛み側をカメラ反対へ。無理な立位は行わない

撮影のNG

  • 過度なポーズ指示や演出
  • ビフォーアフターを競う見せ方(尊厳を損なう恐れ)
  • 同意なくSNS共有、他者の写り込み

介護美容の本質である心が動く瞬間を、スマホで簡潔に・丁寧に記録するための実用版です。

小さく整え、小さく撮り、小さく共有する。ご家族・施設・ご本人の“思い出の再生装置”としてご活用ください。