ソーシャルビューティフォト メイクから撮影までをすべてトータルで行います

「お父さんは写真が苦手で…」「いつも硬い表情になってしまう」そんなお声をよく伺います。でも実は、シニア男性の撮影こそ、年齢を重ねた「渋さ」と「品格」が最大の武器になるんです。

今日は、女性撮影とは違うアプローチで、シニア男性の魅力を引き出すコツをお伝えします。

基本方針:「隠す」から「活かす」へ

女性撮影では「柔らかい光でシワを目立たなく」が基本ですが、男性は逆のアプローチが効果的。刻まれたシワは人生の深み、白髪は信頼の証。これらを隠すのではなく、かっこいい「味」として写し撮りましょう。

目指すのは「若く見せる」ことではなく、「今の年齢だからこその渋さ・余裕・品格」を表現すること。この意識の違いが、写真の仕上がりを大きく左右します。

 

光の使い方:影で「彫り」を深く

横からの光で立体感を作る

ホリの深いお顔の男性は「横からの光(サイド光)」。窓に対して45〜70度の角度で座ってもらい、顔の片側に影を作って骨格をくっきりと見せます。女性撮影のように正面から柔らかく当てるのではなく、方向性のある光で「彫りの深さ」を強調するのがコツです。
*お顔の形やご本人の雰囲気によってサイド光が似合わない場合もあるので注意してください。

影の調整で男らしさを演出
暗くなる側(シャドウ側)は、レフ板で明るく起こしすぎないのがポイント。影を1〜1.5段暗いまま残すことで、鼻筋が通り、輪郭がシャープに見えます。可能であれば、影側に黒いボードを置く「黒締め」を行うと、フェイスラインが引き締まり威厳が増します。

自然光での実践方法

窓の真横に椅子を置き、被写体に窓を向いてもらいます。直射日光は避け、レースカーテン越しの柔らかい光がベスト。反対側には白いレフ板を胸の位置に置き、影を少しだけ起こします。「柔らかいけれど方向性がある光」を心がけましょう。

  

ポージング:「余裕」と「安定感」を表現

座り姿で品格を演出

シニア男性は立ち姿より「座り姿」の方が、安心感と余裕を表現しやすいもの。椅子の前1/3に浅く座り、背もたれに軽くもたれて、自然な安定感を作ります。両足は肩幅程度に開き、片足を少し手前に出すと、三角形の安定した構図になります。

手の位置で自然さを

手持ち無沙汰を解消するため、以下のポーズを試してみてください:

  • 腕を軽く組む(みぞおちの高さで、威圧感を避ける)
  • ポケットに片手を軽く入れる
  • 膝の上に両手を置く
  • 愛用品(本、メガネ、時計など)を持つ

体の向きとカメラアングル

体はカメラに対して30〜45度ひねり、肩幅を見せて安定感を演出。カメラ位置は目線と同じ高さか、やや低めから撮ると威厳が出ます。上から撮ると優しくなりすぎるため、対等か少し見上げる構図がおすすめです。

 

表情づくり:「微笑み」で品を出す

「笑ってください」は禁句

男性に「笑って〜!」と言うと、照れ隠しの苦笑いになりがち。シニア男性の魅力は、満面の笑みよりも口を閉じた「微笑み」や、遠くを見つめる「眼差し」にあります。

自然な表情を引き出すコツ

  • 「口を閉じて、鼻で深呼吸してください」→ 口元が引き締まり知的に
  • 「あの時計を見てください」→ 視線をカメラから外して緊張を解く
  • 昔の仕事や趣味について質問→ 答える瞬間の自然な表情を狙う

褒め言葉の選び方

「かわいい」ではなく「かっこいい」「渋いですね」「ダンディですね」と伝えると、背筋が伸び、自信に満ちた表情に変わります。

 

褒め言葉の「さしすせそ」をぜひ撮影の時も使ってください。

 

小物と衣装:「その人らしさ」を演出

愛用品で自然な手の位置を

メガネ、本、万年筆、腕時計、帽子、楽器など、日常使っているものを一つだけ持ってもらいます。「これ、どうやって使うんですか?」と質問しながら、道具を見つめる真剣な眼差しを狙うと、自然で良い表情が生まれます。

衣装選びのポイント

  • 無地かシンプルな柄
  • 色は紺・グレー・黒・ベージュなど落ち着いたトーン
  • 襟のあるシャツやジャケットで首周りをすっきりと
  • ネクタイやスカーフで縦ラインを作る

まとめ:敬意を持って「歴史」を写す

シニア男性の撮影は、その方の歩んできた「歴史」を肯定する作業でもあります。深く刻まれた眉間のシワも、ゴツゴツした手の節も、家族を守り働いてきた証拠。明るく飛ばしてしまうのではなく、光と影でその凹凸を丁寧に描写してあげてください。

合言葉は「光→角度→表情→敬意」。技術と心、両方を大切にして、その方らしい「品格」を写し撮りましょう。

「お父さん、なんだか映画俳優みたいだよ」

写真を見せてそう伝えた時の、少し照れながらも誇らしげな表情。その瞬間が、私は一番好きです。ぜひ現場で試してみてくださいね。