介護美容写真家®︎の山田真由美です(介護福祉士)。 「盛る」より「整える」。清潔感・サイズ感・落ち着いた質感の3つで、上品さはつくれます。介助しながらでもできる、やさしい整え方をご紹介します。
はじめに(安心と尊厳)
- 触れる前に必ず声かけをしましょう。「眼鏡を拭きますね」「おひげ少し整えてもよろしいですか」
- 皮ふが弱い/血液をサラサラにする薬を服用中の方は髭剃りなどには注意が必要です。
- 補聴器・杖・帽子・ひげはその方の個性になるので、外す前に希望を確認(撮影小物として残すのも素敵)
用意するもの
- 眼鏡拭き(マイクロファイバー)・綿棒
- 電動フェイストリマー(眉・鼻・耳用ガードつき)
- あぶらとり紙・無色のプレストパウダー(超微粒子・無香料)・小ブラシ
- 透明ヘアバーム/マットワックス(ごく少量で整うもの)・水ミスト
- 透明リップバーム・無香料ハンドクリーム
- 洋服用ブラシ/コロコロ・襟を立てる小型スチーマー(なければ霧吹き+タオル)
3分で整える優先順位(上から順)
注)髭剃り、ハサミを使うなど資格が必要になるものはご本人、もしくは有資格者に依頼してください
- 眼鏡:レンズと鼻あてを拭く。左右の高さをそろえ、耳に均等にかける
- 髪:前髪・つむじ・耳まわりを水ミスト→ごく少量のマットワックスで流れを整える
- 眉:長い毛だけを1〜2mmカット(上は切らず、下のはみ出しを少し)
- ひげ:剃るか“均一長さ”に整える。口角下・のどの境目を軽く揃える
- 鼻・耳:見える毛だけ電動トリマーで安全に
- テカリ:額・鼻・頬の中央をあぶらとり→透明パウダーを極少量(生え際/毛穴は避ける)
- 襟・服:襟を立てて形を整え、肩のフケ・ホコリをブラシでオフ。シワは霧吹き→手アイロン
- 唇・手:リップを一度塗ってティッシュオフ。手に無香料クリームを薄く
- 小物:時計ベルトの汚れ拭き、名札や輪ゴムなど“生活感”は外す
- 姿勢づくり:座面の前半に座り、骨盤を立てる→胸を軽く開く→あご1cm引く(椅子からずり落ちないように注意)
服装(品よく見える色・形・質感)
- 色:白髪にはネイビー/チャコール/ミッドブルー。血色が薄い方はオリーブ/キャメル/えんじを差し色がおすすめ
- 柄:無地か小さめのストライプ/千鳥。大ロゴ・強光沢は避ける
- 形:肩が合う上着、衿の高さが合うシャツ。Vが深すぎるニットは首が落ちて見える
- 襟元:第一ボタンは“空けるなら1つだけ”。襟は寝かせず、指1本分の立ち上がり
- レイヤー:ジャケット or カーディガンで“面”を作るとお腹周りがすっきり
- 小物:白いポケットチーフか上質な腕時計を1点だけ。帽子はフェルト/リネンなどマット素材、つばは顔幅の半分以下

ポーズ・姿勢・手の置き方
- 共通:かかとの真上に体重、みぞおちを上に引き上げるイメージ。高齢になるにつれ男女問わず顎が上がりやすいので注意
- 座り(安定して品よく):
- 椅子に浅めに座る→体をカメラに対し30〜45度→胸を開く→あご1cm引く
- 手は膝の上で軽く重ねる、または片手で本/眼鏡を持つ
- 立ち(凛と見せる):
- 片足を半歩前、体重8:2。壁に肩甲骨だけ軽く預けると楽
- 片手はポケット“親指だけ外”、もう一方は腕時計に触れるなど
スマホ撮影の即効テク
- 目の高さ〜少し上から、顔は3/4向き(正面より引き締まる)
- 一歩下がって2x程度にズーム(広角の歪み回避)
- 画面長押しでAFロック→露出をほんの少し下げて(-0.2〜-0.5)ハイライト抑制、目が暗くならない範囲で
- 連写して“まばたき直後の柔らかい表情”を拾う
“いつも上品に決まる”3ポーズ
- 窓辺の椅子座り:3/4向き、膝上で手を重ねる
- 立ち壁寄りかかり:片足半歩前、肩甲骨だけ壁。目線は窓の外へ
- 読書ポーズ:本を胸の下で軽く持ち、口角2mm。手元と顔を同じ面の光へ
撮影前チェックリスト(30秒)
- レンズと眼鏡のレンズは拭いた?
- 髪の分け目・耳まわりは整った?
- 襟が立ち、肩のホコリは取れた?
- 額・鼻のテカリはオフした?
- 手と唇は潤っている?
- 背景のゴチャつきはない?

最後に 品の良さ=清潔感 × 合うサイズ × 落ち着いた質感。足し算より“引き算”で、整えて余裕をつくることが鍵です。無理のない姿勢とやわらかな光、そしてその方らしさ(ひげ・帽子・眼鏡)を大切に。今日の一枚が、“会いたくなる紳士”を quietly 演出してくれますように。