介護美容写真家®︎の山田真由美です。
「ストロボの光がまぶしくて苦手」「機材がたくさんあると緊張してしまう」そんな方も多いと思います。
実は、シニア撮影で一番おすすめなのは、特別な機材ではなく「お日様の優しい光」なんです。
今日は、介護福祉士としての知識も交えながら、窓からの光だけで驚くほど美しく撮れる方法を、やさしくお伝えします。
撮影前の体調チェック:安全が一番の美しさ
撮影を始める前に、必ずこの4つを確認しましょう。
基本の体調確認
- 今日の体調はいかがですか?(痛み・だるさ・めまいの有無)
- 血圧のお薬を飲まれていますか?(立ち上がる時のふらつき予防)
- 水分は足りていますか?(脱水は疲労の原因)
- トイレの場所と、今お手洗いは大丈夫ですか?
少しでも「いつもと違う」と感じたら、撮影時間を短めにして、こまめに休憩を入れます。写真よりも「無理をさせないこと」が何より大切です。
光の場所選び:北向きの窓か明るい日陰がベスト
直射日光は避けましょう
高齢になると白内障などの影響で、まぶしさを強く感じやすくなります。窓から直接太陽の光が差し込む場所では、目を細めてしまったり、シワの影が濃く出すぎてしまいます。
おすすめの環境
- レースカーテンを一枚引いた窓辺
- 北向きの窓(一日中安定した柔らかい光)
- 曇りの日の窓際(自然のソフトボックス状態)
撮影に適した時間帯
- 朝の9時〜11時
- 午後の2時〜4時 正午前後の真上からの光は避けます。雨の日も窓際なら十分明るく、しっとりと優しい雰囲気になります。
基本の配置:窓から1.5mが黄金距離
安全な座位撮影を基本に
足腰に不安がある方も多いので、撮影は「座ったまま」を基本とします。背もたれと肘掛けがある安定した椅子を選び、転倒リスクを完全に排除しましょう。
配置の仕方
- 窓から1.5〜2m離れた位置に椅子を設置
- 窓に対して体を30〜45度ひねった角度で座ってもらう
- お尻を座面の奥まで入れ、足裏は床にぴったりと
- 腰と背もたれの間に薄いクッションで姿勢をサポート
体調への配慮
- 窓際の温度管理(夏は暑く、冬は冷えやすい)
- エアコンで室温を22〜25度に調整
- ひざ掛けを用意して体の冷えを防ぐ
光を整える:白いレフ板の活用
影を優しく起こす
窓の反対側(暗くなる側)に白い紙や発泡スチロールのボードを立てかけます。A3サイズ程度で十分です。これだけで影が柔らかくなり、顔全体が明るく見えます。
身近なものでレフ板代わり
- 白い模造紙やカレンダーの裏
- 発泡スチロールの板
- 白いバスタオルを椅子の背もたれにかける
- 白い壁に近づく
瞳の輝きを引き出す:3ブリンク法
生き生きとした表情の秘密
黒目の中に小さな白い光の点(キャッチライト)が入ると、表情がパッと生き生きします。
3ブリンク法の実践
- 「パチパチと3回まばたきをしてください」
- 「ギュッと目をつむって2秒」
- 「パッと開けた直後にシャッターを切る」
この方法で涙膜が整い、白目もきれいになって、光が美しく映り込みます。
視線の置き方 「窓の方を少しだけ見てみましょうか」と声をかけると、窓の光が瞳に映り込んで優しい輝きが生まれます。
実践の流れ(15分でできる)
準備段階(3分)
- 窓際1.5mに背もたれ付き椅子を設置
- レースカーテンで光を柔らかく調整
- 室温確認とひざ掛け準備
- 体調チェック「今日はいかがですか?」
撮影開始(10分)
- 体を窓に30〜45度向けてもらう
- 暗い側に白いレフ板となるものを配置
- 「まぶしくないですか?」確認
- 3ブリンク法で瞳を整える
- 思い出話を一言聞きながら撮影
休憩(2分)
- 「お疲れ様でした」と声かけ
- 水分補給とリラックスタイム

「まぶしくないかな?」「疲れていないかな?」そんな介護福祉士としての「思いやり」を持って環境を整えれば、ご本人は安心してカメラの前にいられます。その安心感こそが、穏やかで上品な「最高の表情」を引き出す一番の鍵です。
特別な機材がなくても大丈夫。窓の光と優しい心があれば、必ず素敵な一枚が撮れます。まずは天気の良い日に、レースカーテン越しの光で、大切な方の笑顔を残してみてくださいね。
